先生たちのことを考える
先週土曜日、私は先生たちと一緒に加古川のB幼稚園を訪問し、そこでの公開保育研究会に参加してきました。
中山台幼稚園とおなじく「表現」を保育の中心においている関西一園の幼稚園とその先生たち総勢約150人の会です。
朝の自由保育では中山台より一回り大きな積み木でダイナミックに遊ぶ姿が印象的でした。また年長のある組では木工に取り掛かっていました。のこぎりを使うのは2回目のようでしたが、木を押さえる係とペアになって「シューコ、シューコ」と楽しそうにやっていました。先生はそっと立って、子どもたちの興味の有りかや昨日までとの変化を見定めている様子でした。
さてホールに移って公開保育です。枝から離れる“葉っぱ”、強い雨に打たれる“落ち葉”、親りすのように仕事をしようとする“こりすたち”、冬への移ろいの中の“のうさぎたち”の気持ちをそれぞれの心の奥に持ちながら、身振りする子どもたち。先生はひとり一人の動きや表情を見逃すまいと追います。そして子どもの想いを引き出し、お友だちと話し合い、聴きあいします。子どもの気持ちや動きは先生の期待したものとすんなり一致する筈もありません。15分や20分の時間はすぐにタイムアップとなります。むずかしい保育です。また同じ保育は2度とありません。一生に1回きりの保育なのです。まさに“生もの”の子どもと先生が直に触れ合いぶつかり合いしながら進める保育です。中山台でも秋の園内研究会を行っています。自分の保育を公開し、周囲の先生から意見をもらって研究する場です。マニュアルも指導書もありませんので、この園内研に真剣に取り組み、自身の血肉にしていくしか道はないのです。反省会の最後には決まって涙が落ちます。そんな先生たちが挫けず、前を向いて、何度でも自分の殻を破って成長していくように手を引き後押しするのが私の務めです。
昨日は近隣の他の幼稚園の園長先生と食事をご一緒し、お話を聞かせていただきました。「先生たち自身がやる気になって、目的意識を持って自ら気づき、より上質な保育を進んでやっていく。そういう先生たちのやる気をかき立てる、よい気づきの材料を用意することが園長の務めだ」と聞かせていただいた。また、この園では運動会などの行事には先生たちのご両親をお招きするそうです。先生たちの励みになるとともに、ご両親がご自身の子どもの先生という仕事や職場を理解し、応援者になってくれると言います。本当によいお話を伺いました。有難うございました。