京都大学教育学部の森口佑介先生が書かれた「がまんする力」というタイトルのコラムを読んで、大変興味ある
内容でしたので、少々長くなりますが原文のまま紹介させていただきます。
『ここで言う「がまん」とは、後でいいことがある場合に、今したいことをしないことを意味します。例えば、
お子さんがお腹を空かせていて、目の前にお菓子があるとします。お子さんは今すぐ食べたいと思うでしょう。
でも少し待てば、大好きなハンバーグが夕食に出てくるとします。お菓子を食べてしまうとお腹がいっぱいに
なってハンバーグが食べれません。このような状況でハンバーグを食べるためにお菓子を食べたい気持ちを
抑えることが、「がまんする力」です。
この「がまんする力」は幼児期に大きく成長します。そして重要なことに、この「がまんする力」が高い
子どもは、小学校や中学校で学力が高かったり、友人関係に恵まれたり、大人になった時に健康であったり、
経済的に恵まれたりすることが明らかになっています。一方で、「がまんする力」が幼児期に十分育たないと、
大人になった時に糖尿病になりやすく、経済的に恵まれないのです。
IQのような「頭の良さ」を育てることが大事だと思われるかもしれません。IQは確かに大事ですが、
子育てや教育によってIQを向上させることは容易ではありません。IQを一時的に高めることは出来ても、
その効果はすぐなくなってしまします。一方、「がまんする力」は比較的子育てや家庭環境によって育みやすい
ことがわかってきました。では、どうすれば「がまんする力」を育むことが出来るでしょうか。
重要なことは、子どもが自分でものごとを解決できるように親が導くことです。
例えば、お子さんがパズルに挑戦しているとします。そのパズルはお子さんには少し難しいようで、お子さん
は苦労します。このような状況に接した親は、二つのタイプに分かれます。一つは、親がすぐ正解を教える
タイプです。もう一つは、お子さんが自分でパズルができるように、少しだけヒントを出すタイプです。
どちらのタイプがお子さんの「がまんする力」を伸ばすでしょうか。
最近の研究では、少しだけヒントを出すタイプの親の方が、お子さんの「がまんする力」を伸ばすことが
できることを示しています。親の立場からするとすぐ答えを教えたくなりますが、このタイプの子育てには
「がまん」が必要です。つまり、子どもの「がまんする力」を伸ばすには、親にもがまんが必要なのです。』
このコラムを読んで、以前この園長だよりで紹介した「子育て四訓」を思い出しました。
・乳児はしっかり肌を離すな
・幼児は肌を離せ、手を離すな
・少年は手を離せ、目を離すな
・青年は目を離せ、心を離すな
親のがまんとは、子育てにおいて深い愛情を持ちながらも、過保護やは過干渉に陥らないようにすること
なのでしょう。